2008年06月12日

天使の矢橋さん



 b-Cafeになる家の大家さん。

 不動産屋さんを介してたまたま出会った方なのだけれど、ぼくらのCafeへの思いに賛同してくれて、これでもか、これでもか、というくらいに協力してくれている。

 紹介してもらった物件を、相棒と二人で見にいって、どこから手を付けたらいいのかしらん、と思案していたら、彼女が車で駐車場にざざざっと乗り入れて来て、あたしについておいで、と言う。

 どこに行くのかも知らされないままバイクで後ろを走って行くと、木工所のようなところに着いた。知り合いの大工さんらしく、紹介してもらった後、その場で話を付けて、物件を見に来てもらい、アドバイスをいただいた。

 大工さんと別れた後、またついておいで、と言うので行くと、今度は人気のないアパートのようなところに着いた。大家がかつて営んでいた寿司屋の寮だったらしく、ここに使っていない靴箱やら冷蔵庫やらがあるから、要るんだったら持って行けばいい、と見せてくれ、今度は空いている部屋に案内され、これから住まいを探すつもりだった相棒に対して、家が見つかるまでここに寝泊まりしてもいいから、もちろん家賃なんか要らないし、と言ってくれた。

 そこは玄関のカギが壊れていて、風でドアが開かないよう砂袋を置いてある、という部屋で、さすがに実際泊まりはしなかったのだけれど、気持ちはとてもありがたかった。

 さらにもうひとつと、ぶおーんと走ってゆく軽自動車についていくと、今度はマンションの駐車場だった。そして、ここがあたしが建てたアパート。そこの部屋に住んでる。そこに停めてある軽のワンボックス、使ってないから、これから車が要るやろし、あんたらが好きに使ってええから。カギはここにあるし、と運転席のドアを開けて、シートに転がっているキーを指し示した(無防備すぎっ!)。

 その車を借りて、店になる家にぎゅうぎゅう詰めになっていた荷物を、さっきのもと寮にせっせと運んだのだった。

 店に隣接する駐車場を借りる手はずを整えてくれたのも大家だし、相棒の家もその後あれこれ探してくれていたらしい。ぼくらが作業をしていると、ときどき、差し入れを持ってにこにことやってきてくれる。



 そろそろ工事に取り掛かってゆくので今日、大家に会って、賃貸契約の内容について相談をした。

 手数料やら何やら掛かってくるから、内々の相談で決めてもええのよ、と言ってくれていたのだけれど、お互いの後々の事を考えてやはり、懇意にしている不動産屋に間に入ってもらうことにした。

 契約を交わしておいて、家賃が発生するのは9月から、ということになった。今月から工事に掛かるのだけれど、ぼくらが荷物を片づけたのだから、そのお礼だって。
 電気水道もまだ通ったままなのだけれ、そんなばかすか使うわけでもないだろうから、名義の切り替えも9月からでいい、って。

 ほんまにええんやろか、とも思うのだけれど、無い袖は振れないのでここは甘えさせていただいて、結果で恩返ししよう。


 
  彼女は元々は美容室を立ち上げ、それが軌道に乗ってから、ご主人が営んでいた、団体向けの寿司屋の仕事に合流し、店を大きく育て上げたらしい。その店も7年ほど前に火事で焼失してしまい、相当なダメージを受けたはずで、恨み節を漏らしてもよさそうなのに、それを引きずることなく、からりと笑い飛ばしてぼくらの世話を焼いてくれる。

 これはお金のためやないのよ、これから商売はじめる若いあんたらを応援しようと思って、まったくの善意でやってるのよ、とも言う。自分で言ってるのだから間違いなくいい人なのだろう(^^)

 もう70を過ぎているのだけれど、けしてそのようには見えず、携帯電話やらカギやらをじゃらじゃらと首に下げて、きっぱりとあれこれ段取りを付けてくれる。

 昔話になると少々話が長くなるのだけれど、話のしめくくりはいつも「だからあんたらもしっかりもうけるんやで」という教訓を含んだ励ましなっている。

 これまでさんざん働いてきたのだから、もうゆっくりしてもいいだろうに、働くのが好きだから、と週3度は早朝から企業の清掃の仕事をしている。小さな体のどこにそんなエネルギーが秘められているのだろう、と会う度にパワーをもらえる気がする。

 そんな、元気で可愛い矢橋さん。媚びやお世辞ではなく、天使のような人だと思う。
 ありがとう、ありがとう。これからもよろしくお願いします。m(_ _)m

Posted by カワムラ  at 20:18 │Comments(0)TrackBack(0)b-Cafeのつくり方

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